2021/22シーズンの国際大会について派遣選手の選考基準が発表されました。
2021-2022シーズン フィギュアスケート国際競技会派遣選手選考基準
北京五輪
男女シングル(3枠)
- 全日本選手権優勝者
- 以下の基準を満たす選手の中から選考
- 全日本選手権2位、3位
- グランプリシリーズ出場者上位2名
- シーズンベストスコア上位3名
- 以下の基準を満たす選手の中から選考
- 2で選考外となった選手
- 世界ランキング上位3名
- シーズンランキング上位3名
- シーズンベストテクニカルスコア上位2名
シーズンベストテクニカルスコアは今シーズン新しく追加された条件で、同一大会でのSPとフリーのTESの合計が対象となります。
『上位』の考え方で選考対象が増えます
また基準に『上位』となっているものは、資格の無い人や選考済みの人は除いて選考の対象となります。
例として『世界ランキング上位3名』の条件について昨年の全日本選手権の結果と、今年3月現在の世界ランキングで当てはめてみます。
3月現在の世界ランキング(男子)は
2.羽生、3.宇野、11.鍵山、20.田中、27.友野
となっています。
また全日本選手権は
1.羽生、2.宇野、3.鍵山、4.田中、5.佐藤
です。
まず、全日本選手権優勝者として羽生が1枠目に収まります。
この時2枠目の『世界ランキング上位3名』は羽生を除くことになるので、宇野、鍵山、田中が選考対象となります。
同様に2枠目で宇野あるいは鍵山を選ぶと3枠目の『世界ランキング上位3名』に友野が加わることになります。
テクニカルスコア上位2名は下剋上の可能性
今回新しく追加された条件についても全日本選手権の結果に当てはめてみました。
順位 | 氏名 | 合計得点 | 技術点合計 |
---|---|---|---|
1 | 羽生結弦 | 319.36 | 174.82 |
2 | 宇野昌磨 | 284.81 | 147.31 |
3 | 鍵山優真 | 278.79 | 150.01 |
4 | 田中刑事 | 238.83 | 116.70 |
5 | 佐藤駿 | 236.52 | 126.19 |
1枠目、2枠目が確定で繰り上がりますので、『テクニカルスコア上位2名』の2人目に合致するのは、田中ではなく佐藤ということになります。

テクニカル順だと2位3位もひっくり返ってますね
順位 | 氏名 | 合計得点 | 技術点合計 |
---|---|---|---|
1 | 紀平梨花 | 234.24 | 126.42 |
2 | 坂本花織 | 222.17 | 112.80 |
3 | 宮原知子 | 209.75 | 101.94 |
4 | 松生理乃 | 204.74 | 109.49 |
5 | 三原舞依 | 203.65 | 108.59 |
女子も宮原ではなく松生や三原が『テクニカルスコア上位2名』での選考対象になります。
ある意味当然ですが、若手選手の方がテクニカルスコアが高いです。
選考条件をいくつ満たしたかは関係ないので、3枠目は勢いのある若手を選考する可能性は高いと思います。
強化部長が『ロシア選手の高難度ジャンプ』を考慮したような事を言ったらしいです。ということは、この条件は女子を念頭に設定され、女子の方がこの条件に当てはまった選手が選ばれる可能性が高いと思います。
ペア・アイスダンス(1枠)
- 全日本選手権最上位
- 世界ランキング最上位
- シーズンランキング最上位
- シーズンベストスコア最上位
以上の中から総合的に判断されます。
ペアは無風状態で既に決定したようなものかと思います。最終予選で2枠目を取りにいくことも出来るのですが、1枠と明記されているので最終予選は派遣なしで権利を放棄するようです。
荒れるとするとアイスダンスですね。
普通に考えたら、小松原夫妻が圧倒的に有利なのですが、GPSのアサインを見ると他のカップルを出すように画策するような気配が感じられます。
付記事項
全てのカテゴリーに置いて、全日本選手権への参加は必須ですが過去に世界選手権で3位以上になった選手については、全日本選手権欠場でも選考対象になります。
対象となるのは、男子が羽生、宇野、鍵山で女子が宮原、樋口です。
昨シーズンは過去に6位以上になった選手でしたが、今年は元に戻りました。これにより、昨シーズンは欠場でも選考される可能性のあった紀平、坂本は今年は何が何でも出場しなくてはならなくなりました。
世界選手権
選考基準は五輪と同じです。
但し、ペアが2枠となっています。
四大陸選手権
男女シングル(3枠)
以下の条件を満たす選手の中から総合的に判断して選考されます。(付記事項は五輪と同様)
- 全日本選手権10位以内
- 世界ランキング上位6名
- シーズンランキング上位6名
- シーズンベストスコア上位6名
- シーズンベストテクニカルスコア上位6名
ペア・アイスダンス(3枠)
国際的な競技力を考慮し総合的に判断(付記事項なし。全日本選手権出場が必須)
世界ジュニア選手権
男子(3枠)、女子(2枠)
- 全日本ジュニア選手権優勝者
- ジュニア対象年齢で派遣を希望する選手から以下の基準を満たす選手から選考
- 全日本ジュニア選手権2位、3位
- ジュニアグランプリファイナル出場者
- ジュニアグランプリシリーズの1位、2位
- 全日本選手権大会参加者のうち上位3名
- シーズンベストスコア上位3名
- シーズンベストテクニカルスコア上位2名
全日本選手権への出場が必須です。
ペア・アイスダンス(1枠)
国際的な競技力を考慮し総合的に判断(付記事項なし。全日本選手権出場が必須)
懸念事項
今シーズンから追加されたシーズンベストテクニカルスコアですが、対象となる大会にシニア、ジュニアの東日本選手権、西日本選手権、全日本選手権と国内大会が入っています。
ただでさえ、国内大会は一部選手への大盤振る舞いが見られるのですが、今年はそれが悪化しないと良いのですが……。
尚、新型コロナウイルスの感染状況によって、大会が開催されなかったり派遣中止となった場合は、選考基準の変更もありえるそうです。