たかが1秒、されど1秒。
わずか1秒の差がとてもなく大きな差になりました。
37キロから続いた日本人トップ争いは壮絶でした。追い上げてきた小原が一旦は前に出ますが、追いつかれた田中も意地を見せて併走しました。決着はラスト200メートルのスプリント勝負になりました。
その勝負を制したのは田中で、日本人トップの2位です。3位となった小原との差は1秒でした。そして、田中のタイムは2時間23分19秒。五輪代表選考の設定タイムを上回れませんでした。
これによって、2枠残っている代表は、設定タイムをただ一人上回った福士が選考で最優先されることになります。そしてその次にタイムが良く日本人トップの成績を取った田中が3枠目を手に入れることになるでしょう。
小原はたった1秒で五輪代表に逃すことになります。そして、小原が選ばれないということは天満屋勢の五輪連続出場の記録も途絶えることになります。
しかし、先頭に勝負を挑んだ田中も素晴らしかったですし、一旦は遅れたのに挽回して田中とデッドヒートをした小原も見事でした。2人が競り合ったことで、22分台の記録が出てもおかしくない状況だっただけに、福士に『名古屋に出るな』と言った陸連としては、23分台での決着に胸をなで下ろした事でしょう。
しかし、『世界陸上で入賞すれば内定』という条件は、やはり甘すぎると思います。もちろんこの条件を満たした伊藤は何も悪くないし堂々と五輪に出場していいです。悪いのは甘々な条件を設定した陸連です。せめてメダル獲得したらにするか、入賞で可とするなら、トップとのタイム差を条件に加えるぐらいのことはしても良かったと思います。